映画の中盤、マリア・サビーナが唱えた詩をララが、思い出すシーンがある。映画の中に出て来る先住民の女性は、ドキュメンタリーからとったマリア・サビーナ本人の姿。
マリア・サビーナは、メキシコ南部オアハカ州ウアウトゥラ・デ・フアレスに実在したマサテカ族の女呪術師で、伝統的な民間療法として幻覚キノコを使していた。1955年に初めて白人(幻覚きのこを研究していたR.G.ワッソン。肩書きはJ.Pモルガン副社長)に対して儀式を行い、60年代に「Life」で紹介されるや、ヒッピー文化もあいまって、60年代、70年代には、数多くのミュージシャンたちが、村を訪れるようになった。
マリア・サビーナは訪れる人々に何の見返りも求めず、ひたすら儀式を行っていたが、伝統的な儀式をよそ者に公開したことから村八分にされ、貧困のうちに91歳で生涯を終えた。