イントロダクション

ふとしたことで踏みはずす
 夫婦も家族も人生という名の綱渡り

「離婚でホームレス」の新聞記事から生まれた物語




ローマと言えば、人気の観光地。だが、南欧全体が厳しい経済状況の中、一見して、ごく普通の勤め人に見える人が、実は、離婚した結果、車で寝泊まりするようになっていた…。そんな新聞記事のタイトルが、この映画の原題となった「GliEquilibristi」。直訳すると「綱渡り」。ギリギリの生活を何とか保っているといういう意味だ。イタリアでは、元は中流だったのに、新たな貧困層(月収1,100ユーロ)と呼ばれる人々が増えている。この映画の中の父親ジュリオは公務員という堅い職業についているが、月収は1,200ユーロ。妻エレナと共働きで家族4人が生活していけていたことを、独りになって初めて実感する。(詳しくはSTORYをどうぞ!)

 父さん、何があっても愛してる


最初は何とかなると思っていたジュリオ。自分の浮気が原因だから、妻には「君が正しい」としか言えない。ほとぼりが醒めるまでの別居だと思っていたが、友人の家にも住めず、安宿の家賃も払えなくなるに従って、家族に本当のことを言えなくなってくる。自業自得とはいえ、身体的にも精神的にも困憊するジュリオ。だが、そんなジュリオの実情を妻も娘も知らない。時折、元の生活に戻りたいというそぶりを見せる妻に対しても、夜の副業でクタクタのジュリオは、うまくタイミングをつかめず、物事はどんどん悪い方向に…。明るくて、話し好きだった父が、無口になるに従って、娘のカミラは、その原因をつきとめようと行動に出る!


映画の中のトリビア
「ホームレス向けミシュランガイド」ローマで発行
食べることにも事欠いたジュリオが行き着いた先が聖エジディオ共同体。ロケも現地で行われた。