さて、4週目も今日で終わり、明日から最終週となりました「幸せのバランス」。
週末は、明日、明後日を残すのみ!となりました。
今回は、じっくりと上映していく予定ですので、しばらくはDVDもお預け。
なにしろ、最近は、サイクルが早すぎて、目が回るほど。
もうちょっと、地に足つけていきたいものです。
映画は消耗品じゃないから。。。
今回の作品に関して、観ていただいた方から、ツイッターやFBを
通して、色々な、ご感想をいただきました。
登場人物を様々な角度から観ていただいて、とても嬉しいです。
そして、どこか懐かしいイタリア映画、と言われる方もいらっしゃって、
パンフにも書きましたが、ヨーロッパでは、ヴィットリオ・デ・シーカの
「ウンベルトD」へのオマージュだ、と言われていることを思い出しました。
日本でデ・シーカと言えば、「自転車泥棒」か「ひまわり」があがりますが、
この「ウンベルトD」は、家賃が払えなくてアパートを追い出されそうになる
年金ぐらしの元公務員が主人公。制作は1951年で、イタリアで公開された時には、
余りにもリアル(まわりの人々が冷たいしね)なことから、憤慨した人も多々いたとか。
でも、その後、イングマール・ベルイマンやスコセッシが紹介して再評価され、
日本でもDVDで観ることができます。
私のおすすめは、こちらのDVD。
イタリア映画三大巨匠名作集。
(ヴィスコンティ、デ・シーカ、ロッセリーニ)
10作品でこのお値段!
イタリア映画 3大巨匠名作集 DVD10枚組 自転車泥棒 靴みがき 終着駅 ウンベルトD 郵便…/ランベルト・マジョラーニ,エンツォ・スタヨーラ,リナルド・スモルドーニ
¥2,037
Amazon.co.jp
デ・シーカは「ウンベルトD」を自分の父親に捧げたと言っていたようですが、
私は、今回の「幸せのバランス」を観た時に、父を思い出し、配給しようと
決めました。私の父も公務員で、不器用で、借金の保証人になってしまい、
ちょ~貧乏だったので、私は、子供のころから、路上生活が
他人事だとは思えませんでした。「明日は我が身」と今でも思います。
どこにあるか分からない落とし穴。
自分は大丈夫だと思っていても、ふと、踏み違えたら落ちるかもしれない。
でも、たとえそうなっても、這い上がれるチカラを持て、というのが、
一度、落とし穴に落ちた父からの生きた教訓でした。
なので、福祉課に勤めながら「明日は我が身」だと思っていなかった
ジュリオにとって、現実は「まさか」の連続だったと思います。
まさか、自分が、ここまで…と。それを認めざるを得なくなったときの
衝撃と、その向こうに見える一筋の希望で映画は終わりますが、
そのあとの物語は、観た人それぞれで違うでしょう。
デ・マッテオ監督はエンディングの音楽に自らの想いを託しています。
「明日から、人生を変えてやる」
内容は、パンフに書きましたので、ぜひ、見てみてくださいまし~。
この作品を観て下さった東京大学の柳原先生は、
ガルシア=マルケスの「大佐に手紙は来ない」を思い出したと
ブログに書かれています。
「大佐に手紙は来ない」は映画にもなっていて、
メキシコのアルトゥーロ・リプステインが監督
フェルナンド・ルハンとマリサ・パレデスが主演、
若き日のサルマ・ハエックが出演しています。
さすが、リプステイン監督、これでもか、これでもか、と
大佐を追いつめ、最後のひと言で、どっか~んと
地の底まで。。。凄みのある作品だったことを思い出しました。
様々な映画や文学に想いを馳せてしまう「幸せのバランス」
どれだけお金がなくとも、自分で自分を最低だと思っても、
生きている限り、誰かがあなたを必要としている、ということを
思い出させてくれました。
この作品に出会えたことが、私の中で、ひとつの転機に
なりそうな予感がしています。
上映館
新宿K’s cinema
10:30/12:35/14:40/16:45
7月18日(金)まで。。。
ウンベルトD(予告編)懐かしい昔の予告編(イタリア語)
大佐に手紙は来ない
(2012年にウルグアイのテレビ放映のときに作られた予告です)