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サンセバスティアン映画祭の裏側

今回は、映画祭に併設して行われた業界フォーラムなんぞに
ついて書いてみることに。
日本からも「そして、父になる」が出品されたことで、
マスコミの皆様も来てらっしゃったのだが、その華やかな
映画祭の裏側(というか、地下とかサンテルモ美術館内)で
行われたのが、Industry Club(業界クラブ?)や
Foro de Co-Producción entre Europa-Latino America
(ヨーロッパ・ラテンアメリカ共同製作フォーラム)。
今回、フォーラムのために映画祭がホテル代を
出してくれたのだが、アジア人は私だけだった。
(航空券は高かったぜ!)
このオファーがあったときに「なぜに、日本で
配給している私が~?」と言ったのだが、
「日本はマーケットが米国についで大きいのに
ラテンアメリカ映画はどのような傾向で
受け止めてられているのか分からないから」というお答え。
そういうことなら、と参加しましたが、
映画に投資するお金持ちなら、ワクワク
するほどの企画がわんさかあるよ~と
言いたくなった。
いまや、ラテンアメリカ映画は格好の投資場所。
なのでヨーロッパは全力あげて、やっている。
なぜなら、早い段階で参加すれば、
国際配給権がとれたりするので、国に関わらず、
世界に売れる!ということになるから。
それには脚本を読む力とか、監督やプロデューサーの
意識を見極める力が必要なので、英語は必須。
そして、本心を聞くためにはスペイン語も必要という
ことで、できる会社が限られてくるのも確か。
世界でラテンアメリカ映画の製作に出資したり、
国際セールスをしている「大手」は、フランス、
ドイツ、アメリカ、そして、もちろん
スペイン企業が中心。
特にフランスは近年、すっげ~勢いでラテンアメリカ
映画に出資している。ラテンアメリカ映画は、
他の大作から見たら、低予算だけれども化ける可能性が大。
なので、元々、ばくち指向が強い映画業界だけど、
「みなさん、ギャンブラーですか?」と呼びかけたく
なるような様相だった。
彼らが探しているのは、今、企画途中にある作品、
最後まで編集したけれども、カレコレ(カラーコレクション)とか
サウンド調整ができていない作品。
ここで、ポスプロ(ポスト・プロダクション)費を
出すから、と国際配給権をとる企業もある。
ああ、くわばら、くわばら。
(と、自分が製作ならきっと思うなあ)
でも、ラテンアメリカ映画は邦画と違って、
国内での興行収入をアテにできない。
ラテンアメリカには、日本でいうミニシアターとか
独立系が都心部に1、2館あるぐらいで、
(もちろんないところもある)大半がシネコン。
そのシネコンが1スクリーンだけ国産映画に
あけたりするのだけれど、直前に時間変更とか
キャンセルとか、やりたい放題。
だから映画祭に出して、せめてヨーロッパ諸国に
売らねば、回収なんて無理!というのが現状だ。
(それは出資する欧州企業もしかり)
つまり、日本とは逆なのです。
日本は今や邦画全盛!興収全体の65% は邦画。
日本での公開作品は、邦画、洋画合わせて
今年は1,000本を越えるかというぐらい多い。
洋画の中にはDVDスルーなのだけど
1~2週間だけ上映する作品もあるので、
現実的な割合は、もっと少ないかもしれない。
自国の作品を優先するための法律とか作ってる
他国と比べれば、なんてすばらしい日本の
現状なのだが、はっきり言って、本数が多すぎ。
じっくりと上映するというより、まるで
消費されるがごとく、次から次へ新作が公開される。
ありがたいことに、何とかゆっくり上映しようという
意思を持った単館が存在してくれているのが
せめてもの救い。そういう劇場が作品重視で
選んでくれるから、やれているワケで、
そうでなければ、スペイン語圏の中間作品
(大作でもシネフィル向きでもないけれど、
一番、層が厚くて面白い映画)に場所は
ないのさ!だから、いくら賞をとったからって
「日本にMG高く売ろうとするんじゃないよ。
出る時期を逃す作品がかわいそうだから」
と、発言した。ま、これは日本の配給も
欲しい作品は皆で分かち合いながら、みたいな
ところがあれば、いいんだけど、という話ですが。
$ラテン!ラテン!ラテン!-sansebastian1
モデレーターがバラエティのラテンアメリカ映画
専門記者で、他にフランス業2人、米国1人
だったからか、なんとスペイン人まで英語だった。
日本人の私ひとりがスペイン語で話したので
(同時通訳は、バスク語、スペイン語、英語の
相互で用意されていた)なんか異質でした?
って感じだった。
でも、私がスペイン語を話したことで、
モデレーター含め、登壇者は全員、スペイン語が
分かることも判明した(だれも同時通訳の
レシーバー持ってなかったのに私の意見にも
質問でたから)。
というところで、無事におつとめは
果たした訳なのだが、それにもまして、
企画売り込みは、とても面白かった。
16本の中から6本選んで聴いたのだけど、
自分にお金があったら、関わりたい映画が
2本あったけど、ムリ。。。
ということで、次回は、その2本を
ご紹介しまっす。
(その前に自社配給作品をご紹介せねば!)
サンテルモ美術館中庭(逆光でみえましぇん。)
$ラテン!ラテン!ラテン!-サンテルモ中庭