上から順番の紹介じゃないのね、と思われる方も
いらっしゃるでしょうが、何しろ12本なので
スピードが命、と、それぞれのブロックから
1本ずつ書いて行くことにしてます。
あとでリンク貼りますので、しばし、ご辛抱を。
で、この「愛しのトム・ミックス」
これは、キューバ映画というよりメキシコ映画なのですが、
製作はキューバの国際映画テレビ学校(EICTV)ガルシア=マルケス
シナリオ教室!
映画学校出身の監督と脚本家で、メキシコはサカテカスで
オールロケ。鉱山の町らしく、いかにも西部っぽいです。
主演は、ラテンアメリカを代表する往年の俳優、
アナ・オフェリア・ムルギアとフェデリコ・ルッピ。
舞台は1920年代。まだ、サイレント映画のころ。
早くに夫を亡くし、子供もいないフアキーナは、
甥夫婦と共に、生まれ故郷のオコティコで暮らしている。
周りから見れば、立派な高齢者なのだが、本人には自覚ナシ。
当時、銀幕の麗人と言われたヒーロー、トム・ミックスに
あこがれ、結婚式でさらってもらうことを夢見ている。
甥の嫁アントニアからは、フラフラ出歩く、とか
動物の世話を忘れた、と毎日チクチク言われて、
やっかい者扱いされている。
家を抜け出しては、村の誰もいない映画館で、
トム・ミックスの新作を見るのが楽しみ。
そこに、小さな甥っ子フェリペが休暇でやってくる。
この坊やが出会ったのが、フェデリコ・ルッピ扮するカウボーイ。
こちらも高齢者といえども、まだ放浪を続け、
金鉱を探したり、馬の世話をしながら、村々を渡り歩いている。
そんな平穏な村に、強盗団がやってきたから大変。
村長も憲兵も役立たず。村の男衆で自警団を作り、
守ろうとするのだが・・・。
この映画の見所は、何といってもオフェリア扮する、おばあちゃん。
フェリペに「おばあちゃんと呼ばないで」と言う、夢見る乙女。
ずっと村にいるけれど、いつかは、冒険してみたい。
勇敢で、ハンサムでトム・ミックスみたいな男性と。
年齢なんて関係ない。まだ見つかっていないものを
見つけに行こう!という気にさせてくれる。
撮影は、ガルシア=マルケスの息子のロドリゴ・ガルシア。
映画の中のトム・ミックスの場面は、もちろん撮影して、
モノクロ早回しで作ったもの。
スタッフみんなが、とても楽しみながら作ったんだろうなあ、
と思える雰囲気のコメディ作品。
「 愛しのトム・ミックス」Mi querido Tom Mix ☆
製作:ガルシア=マルケス・シナリオワークショップ、
アマランタ・プロダクションズ
監督:カルロス・ガルシア・アグラス
脚本:コンスエロ・ガリード
撮影:ロドリゴ・ガルシア(「彼女を見れば分かること」「美しい人」監督)
出演:アナ・オフェリア・ムルギア(「夜の女王」「死んでしまったら私のことなんか誰も話さない」)
フェデリコ・ルッピ(「パンズ・ラビリンス」「クロノス」「フェルマーの部屋」)
エドゥアルド・パロモ(「ワイルド・ハート」「ベンハミンの女」)ほか
1991/DVCAM /カラー/90分/メキシコ=キューバ
1991年 新ラテンアメリカ映画祭/最優秀女優賞 アナ・オフェリア・ムルギア
1992年 グラマド映画祭/最優秀男優賞 フェデリコ・ルッピ
1993年 アリエル賞最優秀初監督賞ノミネート
1994年 シネマACE賞/最優秀女優賞 アナ・オフェリア・ムルギア