今週末公開の「ボーダータウン」の舞台はメキシコ北部、チワワ州シウダ・フアレス。
ここでは15年前から女性たちが失踪し、
遺体で見つかる、という事件が多発している。
これをフィクションにしてジェニファー・ロペスと
アントニオ・バンデラスが主演。
これまでメキシコではドキュメンタリーや
テレビ番組が作られて来たけれど、
国際社会に訴えるには、この方法しかないかも。
「ボーダータウン」予告編(英語)
犠牲者の大半は、貧しく若い女性たち。
拷問やレイプされたあとに殺害されて
捨てられる。
2001年から抗議行動や行方不明女性捜索の
呼びかけをおこなっているNuestras Hijas de Regreso a Casa(娘を殺害された母親たちが主体となって結成)によると、
1993年から2003年までに10歳(5、6歳というデータもある)から
35歳までの女性、420人以上が殺害された
としている。暴行を受けたあと、
見つかった女性は4,000人以上とも。
この街にはマキラドーラと呼ばれる
輸出加工区(保税地域)があって、
アメリカから無税で部品を輸入して、
メキシコの安い労働力で組み立てて、
輸出している。
メキシコが北米貿易協定(NAFTA)に
加入してから、制度が除外されることになった、と
言われているが、人々は、今も「maquila(マキラ)で働く」と言う。
工場が続々と中国に移り、
衰退していると言われるマキラドーラだけれど、
労働力を担っているのは女性で、
メキシコ各地や国外からも仕事を求めて
集まってくる。
昨年の暮れには、給与未払いのうえ、社員の
積立金までもってトンヅラする企業も出ている。
メキシコの女ともだちは、ボーダータウン(国境の街)から、
ボーダーを渡ってアメリカに入ってしまったけれど、
この状況を見ると、できることなら国境を越えたいだろうなあ、と
思う。
警察も政府もこの事件を深く追求しないのは、
警察と癒着した犯罪組織やら、政治家が関わっている可能性が
あるからだ、と囁かれているが、フィクションにすることで、
そのあたりが描かれるのかどうか、を観てみたい。
これまで作られたドキュメンタリーの予告編
ドキュメンタリーOn the edge 予告編
Bajo Juarez予告編(2006年制作、2008年10月やっとメキシコで公開)
2006年のサンダンス映画祭にも出品。
どちらかというと、こっちのほうが観たい。
アムネスティ制作ビデオクリップ